hanon

[はのん] 生活を楽しむあなたに贈るライフスタイルWebマガジン

まだ間に合う?
好印象な年賀状のための筆ペン使い

2017年も気づけば師走。この時季、プレッシャーの一つが年賀状です。今年こそオリジナリティのある力作を作ってみたいと思いつつも、思うだけに終わった経験はありませんか。 特にハードルが高いのが手書き。そこでテレビや雑誌でも話題の気鋭書家、根本知先生に、字の上手い下手にかかわらず、手書き年賀状が見違えるほど好印象になる筆ペン使いの秘訣を聞きました。

字に自信がない人は、ぜひチャレンジ!

lesson.1 筆ペンは、手の甲が見えるように持つ

書道で小筆を使うとき、筆を真っ直ぐ立てて持つように教わった記憶がありませんでしょうか。根本先生によると、一般的に人は小筆を筆ペンに持ち替えた途端、ついボールペンのように寝かせて握ってしまいがちなのだとか。筆ペンも造りは毛筆と同じですから、小筆のように真っ直ぐ立てて持ちましょう。そうすることで筆先をコントロールしやすく、筆運びもラクになります。真っ直ぐ持つコツは、筆ペンを持ったときに自分の手の甲を見るイメージで持つこと。

また、筆ペンはメーカーによって書き味が異なりますが、毛先の弾力があって、ハネやハライが美しく毛先の一本まで表現しやすいものを選ぶのがおススメ。文具店で試し書きができる場合は、ぜひ書き比べてみてください。

lesson.2 雅に魅せるための、筆運びの黄金バランス

一つの文字をとっても書道にはさまざまなスタイルがあります。どっしりと男性らしい様式もあれば、かな文字のように女性らしい雅やかなスタイルも。かな文字を専門とする根本先生ですが、漢字でも優美な印象の文字を書くためのコツをお伺いすると、意外と知られていない、筆運びの極意を教えてくださいました。

その極意はいたってシンプル。
「筆が横に入る時は、力を抜いてすっと細く筆を入れ、縦方向はどっしりと太く書く。まずはこれができると美しいバランスで文字を書くことができます」
年賀状でもよく使う“春”の文字でお手本を書いていただきました。但し、同じ横方向でも、一筆目は太めに、二筆目、三筆目は細くなど、メリハリは必要なようです。まずは“春”の字から、筆運びの練習をしてみましょう。

lesson.3 筆ペンだけでキメる表面の書き方

年賀状をオリジナルで書こうとするときに、一番ネックになるのが表面のメインビジュアル。絵柄を考えたり、描いたりするのは文字よりも苦手、という方も多いのではないでしょうか。そんな方におススメしたいのが、カラーの筆ペン。最近では、オレンジやブルー、グリーンからゴールドやシルバーまで、さまざまな色の筆ペンが販売されています。

「干支の絵柄などを入れる代わりに、篆書(てんしょ)といわれる古くから中国に伝わる書体を入れるのがおススメです。もともと漢字は象形文字がルーツですから、篆書はある意味、動物などの形が象られたデザイン的な要素が高いんです。干支の一文字をカラーの筆ペンで書くだけでも、立派なグラフィックとして成立して、紙面の完成度が高まりますよ」と、2018年の干支である“戌”をモチーフに篆書で描いていただきました。メッセージなどは小回りのきく硬めの筆ペンでもOK。左下に名前の朱印などを押すと、紙面が一段と引き締まります。

  • *背面の文字デザインはすべて篆書体をもとにしています
  • *小文字のご挨拶はペン先が硬めの筆ペンを使用
  • *金色のインクは文字を弾くため重ね書きは避けてください

また、表面に添える言葉、いわゆるキャッチフレーズのようなワードについてもアドバイスを。 「“謹賀新年” “迎春”などお年賀の挨拶にはさまざまな言葉がありますが、これも相手によって相応しい言葉があります。“謹賀新年”や恭賀新春”は目上のかたへ、慎みの心を表現するという意味があります。“賀正”や“迎春”、“明けましておめでとうございます”などは親しい人への言葉ですので、配慮してくださいね」

《言葉の書き方見本》

lesson.4 誠意が伝わる美しい宛名面の書き方

そして、最後に一番大切にしたいのが“宛名書き”。お一人おひとりの顔を浮かべながら、一年間お世話になった気持ちを伝える、年賀状の仕上げのプロセスです。

根本先生曰く、年賀葉書の宛名面には失敗しないための目安が隠されているのだとか。 「まず最初に書くとバランスを取りやすいのが、お名前。実は郵便番号の1マス目と2マス目の間が、葉書のセンターラインです。そこを目安にお名前を大きく堂々と書きましょう。名前が中心からズレるのは相手に失礼にあたります。そして住所は郵便番号最後の2マス分に1行目、その次の2マスに2行目が収まるように、名前より小さめの文字で書いてみてください。ほら、これだけでバランスの良い宛名面はほぼ完成です」

差出人の住所と名前は無理に筆文字でなくても、ペン先が硬めで書きやすいペンを使用しても良いでしょう。また住所だけゴム印で済ませ、名前のみペンで書いても失礼になりません。

この4つのポイントを押さえて、すべて手書きの、世界に一枚の年賀状を作って、どなたかに送るのはいかがですか。

講師プロフィール

根本 知さん 書道学博士

1984年生まれ。埼玉県越谷市出身。大東文化大学大学院博士課程修了、2013年博士号(書道学)取得。大手百貨店での書道講座をはじめ、美術番組「美の巨人たち」(テレビ東京系)での書の解説や、バラエティー番組「ウチくる!?」(フジテレビ系)でのペン字解説などTV出演多数。また企業への筆文字提供やNYでの作品展示など創作活動も多岐に渡る。著書に『ペン字練習帖 「うまい」と言われる字が書ける』根本知 著(CCCメディアハウス)他。