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健やかな夏を過ごすための「梅仕事」、
クエン酸の働きで疲労回復&食欲増進!

いろいろな食材がいつでも入手できるようになったご時世にあっても、ある時季限定でしか出回らない食材の一つ「梅」。今年も芳醇に梅香る季節が到来しました。梅干しや梅酒だけでなく、シロップやジャムを仕込む梅仕事が、静かなブームとなっているとか。 ここ数年、梅仕事にチャレンジしている編集部スタッフが、梅と梅仕事の魅力に迫りました。

クエン酸は夏バテ知らず!
殺菌効果で食中毒予防にも。

梅干しは、胃腸の活性化、疲労回復、解毒作用など、効能たっぷり!

昔から保存食として親しまれてきた梅干しは、医者要らずといわれるほど日本人の健康を助けてくれている食材です。平安時代の医学書にもその効用が記されているのだとか。さまざまな効能を秘めた健康食品として、今や日本だけではなく、世界中から注目を集めているのだそうです。

お弁当が傷まないように梅干しを入れるのはよく知られていますが、これは梅のクエン酸がもたらす殺菌効果によるもの。同様に、胃腸内の菌の繁殖を抑えたり、胃腸の働きを活性化したりする働きがあるので、食あたりや食欲不振にも効果を発揮するとされています。そのクエン酸の含有量は、野菜や果物の中でもなんとトップレベルなのだとか。クエン酸は、乳酸など体内の疲労物質を分解する働きもあるため、夏バテによる疲労回復にも効果的。

暑い夏を目前にした梅雨時に出回る梅。梅干しや梅酒、梅シロップなどは、一時期しか収穫できない梅を長期保存するために考案されたものですが、まるで夏バテ予防のために生まれてきたようにすら思えるから不思議です(もちろん、年間を通しておいしく味わえるわけですが)。

材料は梅と塩、消毒用の焼酎だけ! 副産物にシソふりかけや梅酢も

一見難しそうに思える梅干し作りですが、その魅力は、何といってもシンプルな材料と作り方にあります。基本的な材料は完熟梅と塩、そして梅と保存容器を消毒する焼酎(またはホワイトリカー)だけ(赤梅干しにする場合は赤ジソが必要です)。

6月の中旬に漬けたとして、食べられるようになるまでには、7月末頃の土用干しを経て、約2〜3カ月ほどが必要ですが、このプロセスも梅仕事の楽しみの一つ。お弁当に一粒、梅肉を使ったアレンジ料理に一粒、と自家製梅干しを使うのが楽しく、その味わいもより感慨深いものになりますよ。梅干しが完成した後にできる赤ジソのふりかけや調味料として使える梅酢もうれしい副産物です。

6月上旬〜下旬:完熟梅を塩漬けにする(梅に対して塩分は15〜20%が一般的)
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6月下旬〜7月中旬:梅酢が上がってきたら、赤ジソを加える
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7月下旬〜8月初旬:天気の良い土用の頃に、3日間天日干しにする

「梅干しは一度漬け始めたら3年は続けないと悪いことが起こる」という、まことしやかな言伝えがあって、ハードルが高く感じる方も多いと思いますが、それもきっと「石の上にも3年」という先人からのアドバイスに違いありません。少し調べてみると、重石要らずの袋漬けや少量からできる保存袋漬けや保存瓶漬け、またカビなどの心配不要な「さしす梅干し※」など、手軽にできるレシピがたくさん紹介されています。ぜひ、気軽な気持ちで始めてみてくださいね。

※さしす梅干し:砂糖、塩、酢で漬け込む梅干し。副産物でできる甘酢は、酢の物や酢飯の合わせ酢としても活用できる。

梅シロップや梅ジャム、梅酒とまだまだ楽しめるシンプルな梅仕事

もちろん! 梅仕事は梅干しに止まらず、梅シロップや梅酒、梅ジャム、梅肉エキスなどさまざま。お酒好きの筆者が初めてチャレンジしたのは、材料が完熟梅、氷砂糖、ホワイトリカーとシンプルな梅酒でした。作り方も簡単で一度作ると保存瓶にたっぷりできあがったのですが、レシピが甘すぎたのか濃厚な梅酒はそうそう減ることはなく、長期熟成させながら時折楽しむようにしています。

そして、梅酒作りに代わってここ数年ハマっているのが、よりシンプルな梅シロップ。こちらの材料は梅と氷砂糖だけ。仕込んでから1カ月ほどで飲めるようになることも魅力的です。水や炭酸水で割って氷を浮かべて飲むだけで夏の疲れがすーっと溶けていくおいしさ。梅のクエン酸には疲労物質を分解する働きがあるのですから、理にかなった夏の飲み物ですね。カルダモンやシナモン、スターアニスなどを加えると、よりスパイシーな味わいになるので、暑い季節には特におススメです。

夏を健やかに過ごすために、また長く保存できる食品作りとしても、一度はチャレンジしてみたい自家製の梅ドリンクや梅干し。この時季限定の梅仕事、今からでもまだまだ間に合いますよ。

  • 参考文献:
  • 『百年の梅仕事』乗松 祥子 著(筑摩書房)/『初女さんのお漬け物』佐藤 初女 著(主婦の友社)/『梅干しと漬けものの本 レシピ104』藤巻 あつこ 著(ルックナゥ)/『失敗しない梅干し・漬け物』今泉 久美 著(主婦の友社)/『はじめての梅しごと手帖』若山 曜子 著(家の光協会)/『オールガイド食品成分表2017』実教出版編修部 編集(実教出版)/『栄養の基本と食事の教科書』吉岡 有紀子 監修(池田書店)/『改訂版 栄養の教科書』中嶋 洋子 監修(新星出版社)