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朔風葉を払う
きたかぜはをはらう
色づいた木の葉が、北風に吹かれて葉を散らします。山の木々が枯れた様子を“山眠る”といいますが、山も山に暮らす生き物たちも、そろそろ冬の眠りに就き始めます。
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橘始めて黄ばむ
たちばなはじめてきばむ
古事記などの書物に不老不死の果実として記される橘の実が、 この時季になると色づき始めます。葉も常緑なことから、冬でも枯れない縁起の良い果樹とされています。
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閉塞く冬と成る
そらさむくふゆとなる
低く垂れ込める雲に覆われて天地がふさがれると、冬将軍の到来です。山々は冠雪し、平野部でも朝夕の冷え込みが一層厳しくなり、いよいよ真冬の気候に突入します。
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熊穴に蟄る
くまあなにこもる
正月を迎える行事始めとして、一年のけがれを清める“すす払い”を行う時季。山にすむ動物たちがたっぷり栄養を蓄えて巣にこもり、春までの長い眠りに就くのもこの頃です。
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鱖魚群がる
さけのうおむらがる
川の上流でうまれ、はるか大海原を回遊して大きく育った鮭が、産卵のため再び故郷の川に戻ります。群を成して遡上する鮭の姿は、大昔から繰り返される自然の営みです。
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乃東生ず
なつかれくさしょうず
一年で最も夜が長い冬至は、無病息災を祈って体を清める日。さまざまな植物が枯れゆく中、芽生え始めるのがうつぼ草(乃東・夏枯草)。冬至を過ぎると少しずつ日脚が伸びてきます。
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麋角解つる
おおしかのつのおつる
この時季になると、トナカイやヘラジカといった大鹿の角は抜け落ち、春に生え変わる準備を始めます。まるで植物が枯れてまた芽吹くような、自然の営みを感じます。