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[はのん] 生活を楽しむあなたに贈るライフスタイルWebマガジン

シバトモのおきらく鳥♪日記 / 010

こんにちは。ごくごく普通のおばさんコピーライター、シバトモです。子育ても親の介護も経験し、もう人生後半戦。趣味はバードウォッチング、といっても、いっこうに上達しない万年ビギナーです。性格はいたってお気楽。そんな私がつづる「おきらく鳥♪日記」。どうぞ、おつきあいください。

春うらら。
お弁当持って出かけたくなる季節ですね。
じつはお弁当嫌いだった私の、お弁当話。

インスタ映えのする楽しいお弁当が次々アップされたり、“おにぎらず”がはやったり、世の中、お弁当がブームのようですね。そんな風潮に逆らうように、私は長年、お弁当嫌いでした。作って時間が経ってから食べるお弁当より、たとえネギしか入っていなくても、湯気の立つ素うどんをフーフーかき込む方がいい! と思っていました。ところが、お弁当嫌いを卒業せざるを得ないような出来事がいくつか…。今回は、そんな私のお弁当話です。

鳥をじっくり観察することが目的の探鳥会では、お弁当は凝ったものは必要なく、集合場所への途中、コンビニで買ってくるのが多数派。手早くお弁当を詰めてくる方や、中には、ポット持参で3分待ってラーメンという猛者も。そんな中、探鳥会のお弁当の王道と私が考えるのは、おにぎりが1つか2つだけのシンプルなお弁当。食事時といえども、いつなんどきお目当ての鳥が姿を現すか分かりません。「あ、ハヤブサだ!」「ハマシギの群れが来た!」との声にも素早く対応できるのは、おにぎり! 新紙幣で注目される渋沢栄一の「右手にそろばん、左手に論語」ならぬ「右手に双眼鏡、左手におにぎり」スタイルが最強なのです。
それにひきかえ、コンビニ弁当派の私は、珍鳥が出現しても即座に反応できず、「あ〜あ、飛んじゃった」。見逃した経験は数知れず。空腹を満たすだけで十分という潔さ、一瞬たりともチャンスを逃さないという姿勢。食い意地の張った私は、左手おにぎり派の方々を、密かにリスペクトしているのです。
注:左手おにぎり派には、左手菓子パン派という亜種も存在します。

いくら豪華でも冷たいお弁当より、熱い素うどん! 私のこのポリシーがグラリと揺らぎました。それは、亀戸・升本のお弁当「すみだ川」に出会ったとき。一見よくある割烹弁当ですが、仰天したのは、おかずのギッシリぶり! 合鴨ロースを箸でつまむと、下からホタテが顔を出し、奥には鶏つくね、手前は野菜の煮合わせ。卵焼きの横で窮屈そうな縦詰の魚を引き出すとカレイの漬け焼き、隣の茶色は牛肉の八幡巻…という具合。亀辛麹のカップ下にもクラゲ酢が潜み、わずかな隙間も許さんぞと、かまぼこや木くらげ煮がビタッと埋める。普通ならセンターを張りそうなおかずたちが、自慢の切り口も見せられず、表舞台にも立てず…。おかず全部を見せようとしたら、ほら、写真の通り。江戸下町割烹の心意気が詰まったような、こんなギッシリのお弁当、見たことがありませんでした。広いデパ地下弁当界には、この「すみだ川」と互角に勝負できる強豪がきっとまだ隠れているはず。おにぎり界にも、スーパーのお弁当界にも…。熱々だけがご馳走でないことに気づいた私。次なる出会いはいつか? 追い求めている昨今です。

娘たちが大きくなり、手作りのお弁当から離れて久しい日々ですが、先日、思いがけず素晴らしい手作りのお弁当をご馳走になりました。持つべきは友! 自然や美術に造詣が深く、いつも尊敬している友人、ますみさんが、「一緒にお弁当を食べましょう」とロウバイ香る春先の緑地に誘ってくださったのです。味わう前に見惚れたのが、盛り方でした。百年持つという根曲がり竹の蕎麦ざるや、小田原で手に入れたという経木の折り箱に収められた一品一品。箸置きは芽吹いたばかりのネコヤナギを輪にしたお手製で、箸袋には愛らしい小鳥の版画…。野山の景色よりも季節感にあふれたお弁当! いただきま〜す!
卵焼きはジャコと三つ葉の風味が効いたお酒に合うもの。自前の塩麹に漬けた鶏ロールには、自ら野山で摘んで塩漬けした実山椒を添えて。あさりのヌタはかわいい貝殻に盛られています。お酒の合間に、旬の豆ごはんを一口、また一口、箸が止まりません。私がゆず好きと知っての創作スイーツ、干柿のゆず射込み…まで、おいしさと感動の連続。
聞けば、いつも念頭に置いているのは「大切なお友だちと一緒に楽しむお弁当」。それは、相手を気遣い、自身も楽しむこと。最近、B級グルメ好きのお友だちのために作ったのは、肉まんと塩焼きそばのお弁当だとか。そして今回のテーマは、お酒好きに合うお弁当。すっかり見抜かれていました(笑)。本当にご馳走さま! また作ってくださいね〜