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シバトモのおきらく鳥♪日記 / 011

こんにちは。ごくごく普通のおばさんコピーライター、シバトモです。子育ても親の介護も経験し、もう人生後半戦。趣味はバードウォッチング、といっても、いっこうに上達しない万年ビギナーです。性格はいたってお気楽。そんな私がつづる「おきらく鳥♪日記」。どうぞ、おつきあいください。

カラスって、赤ちゃんの時は目がブルーなんです。
知れば知るほど面白い、嫌われカラスのこと。

「カラスなぜ鳴くの〜 カラスは山に〜♪」「カラスと一緒に帰りましょう〜♪」 昔から童謡に歌われるほど親しまれる存在だったカラス。嫌われ者になってしまったのは、いつの頃からでしょうか。もちろん、カラスがゴミをあさるのは困りもの。でも、そんなカラスにも、かわいいところやびっくりするような能力があって、観察すればするほど、憎めなくなります。今回は、嫌われカラスの意外な一面のお話です。

あるとき、樹上のカラスを見上げたら、どこかおっとりしていて、ちょっと幼い感じ? 望遠鏡で大きく引き寄せると、口元が赤く、口を開けたら中は真っ赤。そして、目はなんとブルー! 胸元は羽毛みたいにフワフワ。やっぱりカラスの赤ちゃんでした。カラスも赤ちゃんのときは、愛くるしいのですね。
鳴き声もカァカァではなくて、鼻にかかったア〜ア〜という甘えるような声。後で知ったことですが、カラスのお母さんは、この幼い声と真っ赤な口に母性本能をくすぐられて、せっせと餌を運ぶのだとか。成長するうち、この赤い色が消え、声もカァカァに変わると、もう餌を与えなくなるんだそうです。それは自立とさらなる成長を促すため。春から夏、耳を澄ますと、ア〜ア〜と鳴く赤ちゃんカラスの声が聞こえてくるはずですよ。

鳥の中で一番知能が高いといわれるカラス。そのことを実感するシーンに出くわした経験があります。奥日光で野鳥観察をしていたときのこと。すごい勢いで流れる湯滝のすぐ脇にたたずむ一羽のカラスがいました。このカラス、何をしてるんだろう? じっと見ていると、突然、激流に飛び込んだのです。水の中で何度か翼をバタつかせた後、戻ってきたカラスの口には、大きな川魚が! なんと、滝で漁をしていたのです。
鳥を何十年も見ている鳥仲間たちも、漁をするカラスなんて初耳、と驚いていました。それにしても、このカラス、いったいどのようにしてこんな一撃必殺の見事な漁法を身につけたのでしょう? 考えれば考えるほど不思議です。ちなみに、淡水魚にも詳しい仲間に写真を見てもらったところ、捕らえた魚はイワナか、カワマス、その自然交雑個体のいずれかではないか、とのことでした。 先日の新聞には、公園の水飲み場で器用に水栓をひねって水を飲んだり水浴びをするカラスのことが写真とともに紹介されていました。一昔前の高級車のCMでは、堅いクルミを車にひかせて割ろうとするカラスが描かれていて話題になりました。カラスって、天才! つくづくそう思います。

鳥見を趣味とするまでは、カラスが1種類ではないことを知りませんでした。よく見られるカラスにも、じつは2種類いることを。くちばしが太くておでこが出っ張ったハシブトガラス、くちばしが細くておでこの狭いハシボソガラス。バードウォッチャーはたいてい、ブト、ボソなどと略して呼んでいます。東京23区内で見られるカラスのほとんどはブト。ボソのほうは都会の環境への適応力が低いのか、ほぼ絶滅状態だそうで、ブトの天下です。
カラスの仲間はこの2種類以外にもいろいろいて、羽色も黒ばかりではないんですよ。ブルーの羽が美しいオナガ。ルリ色とブドウ色があでやかな奄美のルリカケスは国の天然記念物。亜高山帯の山々には、全身に星をちりばめたようなホシガラス。愛鳥家だけでなくアルピニストにも憧れの鳥なのです。大好物のハイマツの実を器用に食べる姿に出会ったときには、山歩きの疲れも吹っ飛んでしまいます。
鳥を見始めた頃、「な〜んだ、カラスか」の一言で済ませていた私も、観察を重ねるうち、意外にかわいい面や、興味深い行動、驚くべき能力に気づかされて、今やカラスは、興味がつきない観察対象になっています。