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[はのん] 生活を楽しむあなたに贈るライフスタイルWebマガジン

シバトモのおきらく鳥♪日記 / 013

こんにちは。ごくごく普通のおばさんコピーライター、シバトモです。子育ても親の介護も経験し、もう人生後半戦。趣味はバードウォッチング、といっても、いっこうに上達しない万年ビギナーです。性格はいたってお気楽。そんな私がつづる「おきらく鳥♪日記」。どうぞ、おつきあいください。

夜の鳥と早起きの鳥を観るために、初夏の高原で車中泊してきました。う~~ッ寒い!

私は時々、車中泊をします。いちばん多く行くのは、初夏の高原。なぜ? 夏鳥が渡ってきて繁殖期を迎えているこの時季の高原、鳥たちは夜が明ける前からラブソングを歌い、日が傾けばフクロウなど夜行性の鳥がヒナのために狩りを始める…いつものように旅館やペンションに泊まってゆったりと鳥見をしていたのでは、出会いたいシーンを見逃してしまうのです。
車中泊といえば、装備を工夫して快適に楽しむ方も多いようですが、私の車中泊は、野鳥の生活に近づくために単にクルマに泊まるだけのもの。いたって不便で窮屈です。それでも車中泊をするのは、鳥たちの現場にいるからこそ出会える驚きや発見、感動シーンがあるからです。

その日の車中泊の目的は、夜のフクロウ。昼間のフクロウは何度も見たことがあるものの、本来の活動時間である夜、狩りをする姿は見たことがありませんでした。確証がないまま、目星を付けた場所で待機します。果たしてフクロウは現れるのか? 不安と期待が交錯します。やがて日が落ち、あたりが闇に包まれ始めた頃、ボーッと白い影。フクロウだ! ダメモトで待っていたのに、なんという幸運! それは初めて見る本来?のフクロウ。胸がドキドキしました。木のてっぺんからフワッと飛び立ったかと思うと、地面に急降下。ヒナに餌を運ぶための狩りが始まったのでしょう。音もなくフワフワ飛び、俊敏に獲物を狙うフクロウの動きは、野生そのもの。わずかな残照の中に垣間見ることができた生態でした。もはや、あたりは漆黒の闇。フクロウの狩りはこれからが本番でしょうが、観察はおしまい。そこはすでに、闇を生きる野生動物たちの世界です。

夜とは、本来、暗いもの。街灯ひとつない場所で、普段は忘れている真っ暗な闇を実感するのも車中泊の面白さだと思っています。地元の食材を使用し手間ひまかけた旅館のごちそうに比べると、カップ麺とおにぎりの夕食はいかにも質素ですが、闇に包まれ窮屈な車中で取る食事も、また良きかな、です。ワンタッチでハンドルに装着できる、お一人様用テーブルのおかげで、狭いながらも楽しい食卓。コンビニ焼き鳥も奮発して、運転する必要がないのでお酒もいただいてしまいましょう。ランタンの明かりで味わうお酒は、ちょっといい雰囲気! しみじみおいしいです。
未明の探鳥に備え、いつもよりずっと早く眠りにつきます。背もたれを倒し、寝袋に潜り込むだけの寝床。初夏といえども高原の夜はしんしんと冷え込むので、寝袋があると本当にホッとします。明日はどんな出会いがあるでしょう? 早起きの鳥たちに遅れをとらないように、おやすみなさ〜い!

夜明け前から始まる鳥のさえずり。トップバッターは、満天の星空を飛び回りながら鳴くホトトギス。続いて、アカハラの♪キョロン、キョロン。そして、クロツグミやキビタキなど歌の名手が次々と加わり、夜が明ける頃には、もう、どの声がどの鳥か分からないほど、華麗で壮大な鳥たちのシンフォニーが高原中に響き渡ります。この素晴らしさを一度味わってしまうと、毎年、初夏には、必ず夜明けの高原に身を置いていたくなります。車のウインドウを下げるだけで四方八方からさえずりが飛び込んでくる、車中泊ならではの特別席です!
その朝は、鳥たちのシンフォニーにプラスして、目を奪う絶景が加わりました。たまたま車を止めた湿原に、ゆらゆらと朝もやが立ち上ったのです。なんとも幻想的な光景! 耳と目のごちそうを同時に味わえるこんな贅沢も、車中泊の醍醐味かもしれません。朝もやが見られたのは、わずか30分ほどのこと。陽光が強さを増すと溶けるように消え、あたりは黄金色に染まりました。
さて、高原のおいしい空気の中で、朝食でも。