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[はのん] 生活を楽しむあなたに贈るライフスタイルWebマガジン

シバトモのおきらく鳥♪日記 / 014

こんにちは。ごくごく普通のおばさんコピーライター、シバトモです。子育ても親の介護も経験し、もう人生後半戦。趣味はバードウォッチング、といっても、いっこうに上達しない万年ビギナーです。性格はいたってお気楽。そんな私がつづる「おきらく鳥♪日記」。どうぞ、おつきあいください。

真夏の街を抜け出して、天空のお花畑へ。
日本アルプスの涼しさをお届けします。

なにをしていても暑い夏。私は、思い立つと、街を飛び出して天空のお花畑を訪ねます。標高2000m前後の山々では、空気はひんやり、眺望は最高。そしてなにより、短い夏を謳歌するように何十種類もの花々が咲き競うお花畑が迎えてくれるのです! 野鳥は飛び回るので姿を捉えるのはちょっと大変ですが、お花は動かないので、私にも難なく楽しむことができます。
でも、高い山に登るのは、大変では? いいえ、大丈夫。ロープウエーやゴンドラでラクラクお花畑の近くまで行けてしまう山が意外にたくさんあるのです。

私が好きなお花畑のひとつに、長野の入笠山(にゅうがさやま)があります。その昔、日本野鳥の会創始者、中西悟堂がここで探鳥会を開いたという由緒ある自然豊かな地で、山頂まで登れば、日本百名山のうち22山が望める360度の大パノラマが広がります。私は登山口の駐車場から徒歩で登りましたが、ゴンドラを利用すれば、お花畑のある入笠湿原までひとっ飛びのお手軽登山ができますよ。
まず迎えてくれたのは、紫色のかすみがたなびくように一面に咲き誇るサワギキョウ。風に揺らぐ花穂がなんとも涼やかです。湿原の遊歩道をゆっくり進めば、右に左に花々が美しい姿を見せてくれます。雪に埋もれ、長い冬を耐え抜いた末にようやく花開いた、たくましくも可憐な植物たち。図鑑と目の前の花を見比べていると、私のような野草オンチにも少しずつ名前が分かってくるから不思議です。名前が分かれば、より興味が深まり、お花がもっともっと好きになります(もし写真の花の名前が間違っていたらごめんなさい)。

百花繚乱のお花畑には、甘い蜜を求めてチョウもハチもやってきます。街の公園や緑地などでもチョウの姿をチラホラ見ることはありますが、短い夏に集中して咲く高地のお花畑を訪れるチョウは、数も種類も圧倒的! 平地では見られない美しい模様や色鮮やかな姿があちこちに。天空のお花畑は、チョウの世界への入り口でもあるのです。
マルバダケブキにやってきたのは、アサギマダラ(左)とヒョウモンチョウの一種(右)。アサギマダラは旅するチョウで、こんなにか細い体でヒラヒラと2000kmも渡りをするそうです。このアサギマダラ、暑さに弱いらしく、観察した限りでは日陰の涼しいところにいることが多かったように思います。私の自宅近くでも、奄美大島の林でも、アサギマダラを見かけたことがあったのは、旅するチョウだからなのでしょうね。それにしても、見るからに美しく可憐なこのチョウが、危険を冒してまで長旅をするのはなぜ? 天空のお花畑には謎がいっぱいです。

森林限界を超え、木々も草ほどの丈の低木しか見当たらない高山帯を、わざわざすみかに選ぶ鳥たちがいます。国の特別天然記念物のライチョウもその仲間。氷河期の生き残りといわれる鳥で、天敵が生存しにくい過酷な環境をあえて選ぶことで命をつないできたのです。そんなライチョウに会いたいと思って何度か立山や乗鞍に出かけましたが、なかなか姿を見ることはできませんでした。ところが、ふらりと参加した観光バスツアーで乗鞍のお花畑に立ち寄った時のこと。一面に咲くハクサンイチゲの白の中からヒョイと現れたのは、茶と黒のまだら模様の頭! ライチョウとの思いがけない出会いでした。ライチョウは天敵の猛禽類などから身を守るためにお花畑やハイマツ林の中に潜み、植物の葉や実を食べて生活しているそうです。初めての出会いから数年後、かわいいヒナ連れの姿を見ることもできました。真夏の高山は、珍しい鳥に出会える幸運も秘めているのです。
自戒を込めて、高山へ出かける際の心得。標高2000mを超えるお花畑にも気軽に行ける時代ですが、そこはやはり、厳しい山岳地帯を訪れることに変わりありません。突然の嵐や気温の急激な低下など、自然が牙をむくこともあります。出かける場合は、山靴や雨具、防寒具など、装備をしっかり整えておきましょうね。