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シバトモのおきらく鳥♪日記 / 023

こんにちは。ごくごく普通のおばさんコピーライター、シバトモです。子育ても親の介護も経験し、もう人生後半戦。趣味はバードウォッチング、といっても、いっこうに上達しない万年ビギナーです。性格はいたってお気楽。そんな私がつづる「おきらく鳥♪日記」。どうぞ、おつきあいください。

江戸の繁栄を支えた水運は、粋な町々も育てました。 時間を旅するように、ぶらり“小江戸”散歩。

以前、江戸下町散歩にはまって江戸の人情と情緒に魅せられた私が、次に関心を抱いたのは、今も江戸情緒が残る小江戸と呼ばれる町々。これらの町の多くが、百万都市・江戸への水運によって栄えた町であることを知り、がぜん興味をそそられました。往時の面影を求めて今回訪れたのは、江戸水運の要衝といわれる関宿と、“江戸勝り”と称えられた水郷・佐原。ではでは、江戸情緒にひたった小さな旅のご報告です。

千葉県野田市にある関宿という町をご存じですか? 私は、今回行くまでは知りませんでした。利根川と江戸川の分流点で、埼玉・茨城・千葉の県境が重なる地。この関宿こそ江戸水運の要の地ということが分かり、まず関宿を訪れたのです。
かつての天守閣を模した関宿城博物館は、江戸水運にまつわる知識の宝庫でした。興味深かったのは、坂東太郎と呼ばれた日本一の暴れ川、利根川の大改修。幕府は江戸湾に注ぐ利根川を60年の歳月をかけて銚子沖に流れるように付け替え、さらに支流の江戸川を掘って、江戸の水害対策と内陸水路の両方を実現したというのです。東北からの年貢米や物資は波風荒ぶる房総沖を避け、銚子から利根川を関宿まで上り、こんどは江戸川を下って江戸城下へと運ばれるようになりました。流域の河岸には蔵や問屋が建ち並び、それはそれは賑わっていたとか。
博物館内には、天井を突き破ろうかというほど高く帆を張った高瀬舟の模型、舟の関所が置かれた当時のジオラマなど、水運の歴史が目に浮かぶ展示の数々。博物館を一歩出ると、かつて高瀬舟が行き交っていた江戸川から心地よい川風がそよ吹いていました。

次に訪れたのは、小江戸のひとつとして名高い、水郷・佐原。町の中心を流れる小野川は利根川に注ぎ込む支流で、江戸水運の繁栄を担った川です。荷を山積みした小舟が忙しく行き交う様子を想像しながら川縁をそぞろ歩いていると、観光舟がのんびりと流れを遡っていきました。川沿いや通りには、築百年を超える蔵や商家がたくさん残り、隆盛を極めた歴史を目の当たりにするよう。驚いたのは、店や住まいの多くが今も現役を張っていることです。家業を受け継ぐ酒蔵や蕎麦屋があるかと思えば、当時の面影を宿す伝統建築がホテルやレストランとして新たな命を吹き込まれている。人が住み、手を入れ、使われ続けている生きた文化財なのでした。店先で黙々と銘木を削り、流麗なカタチの耳かきを創り出す若い職人さん。ふらっと入った荒物屋さんには昔懐かしい竹製品がずらり。佐原には他の町にはない面白いものがいっぱい隠れていそうです。

ある造り酒屋の前を歩いていると、「お雛さまはこちら →」の貼り紙が目に留まりました。次々現れる貼り紙に導かれて奥へと進むと、そこはご自宅の中庭。江戸や明治の時代のお雛さまが並んでいました。お雛さまは、じつは、町のあちこちに。店の入り口で、ショーケースの上で、川縁の荷揚場で、訪れる人々を歓迎! ラッキーにも、恒例の「雛めぐり」イベントの真っ最中だったのです。
お雛さまの傍らには「佐原まちぐるみ博物館」という小さな木の看板。各家に伝わる道具や調度から代々受け継ぐ暮らしぶりまで、町を丸ごと博物館にしてしまおう!と商家のおかみさんたちが始めた活動だとか。なんて素敵な取り組みでしょう。「どうぞ奥に入って、昔の道具やお庭も見てください」と招き入れ、気さくに説明もしてくれる。佐原は江戸情緒が残るだけの町ではなくて、熱い思いとエネルギーが伝わってくる町。“江戸勝り”を誇る気風は令和の今も息づいていたのでした。
私の小江戸散歩は、今始まったばかり。関東一円には、さまざまな小江戸が待っているかと思うと、これからの出会いが楽しみでしかたありません♪