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「ら抜き言葉」は過渡期の言葉。昔は「行かれる」が正しかった!

― 普段よく指摘される言葉に「食べれる」「見れる」といった「ら抜き言葉」があります。これについて先生のご意見を伺いたいのですが。

金田一先生 動詞には一段動詞と五段動詞があって、今の文法では一段動詞は「られる」、五段動詞は「れる」の形で変化するはずなんです。「食べる」「見る」は一段動詞だから「食べられる」「見られる」が正しい。でも「食べれる」「見れる」に変化してきちゃったんだね。でも同じ一段動詞の「調べる」っていうのは「調べれる」って言わないで「調べられる」って言うでしょう? その方が耳にいいんですね。ら抜き言葉になる動詞とならない動詞がある。きっと言葉が変化していく過渡期なんだね。どうして「食べる」「見る」だけ変わってきたのか、そこには何か面白いルールがあると思うんです。しゃべりやすいとか、意味が分からなくなりやすいとかね。では、「行く」はどう言います?

― 「行ける」でしょうか?

金田一先生 そう。五段動詞だから「行ける」だね。でも「行かれる」って言う人もいる。静岡あたりではよく耳にします。実は「行かれる」は古い形なんですよ。昔は五段動詞も「られる」だった。

― そうなんですか! 時代はいつ頃のことでしょう?

金田一先生 明治時代です。古典的な文法書にはそう書いてあったはず。地方によって「行かれる」が残っているのは古い形が残っているんですよね。同じ五段動詞でも「眠る」は「眠れる」にちゃんと変化しちゃった。と言いつつ「眠られる」も残ってはいるんですよ。「眠れぬ夜」より「眠られぬ夜」の方が、眠れない感じがしますよね。五段動詞もそうやって変化してきたから、一段動詞も「れる」の形になってきているという説が一番有力です。だから「れる」「られる」にはいろいろな説があるんだけど、どっちでもいいんじゃないかな。

ややこしいことに「揺れ」というのもあるんですよ。「間違い」と「間違え」、さあどっちだ? ってね。「間違え」が新しい形で「間違い」が古い形。「漏れる」が新しくて「漏る」が古い。ガスは「ガス漏れ」で雨は「雨漏り」でしょう? 雨のように古くからあったものは「漏り」なんですよ。

― なるほど、確かに「空気漏れ」「水漏れ」は、現代になって使われるようになったのですね。

金田一先生 こうした言葉の違いは「乱れ」じゃなくて「揺れ」と考えた方がいい。そういう言葉はたくさんあるんですよ。

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